高校留学前の英語の準備

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カナダの高校留学を成功させるための英語の準備

高校留学前の英語の準備

「留学前の勉強ってどうしたらいいですか?」

お子様のカナダ高校留学をご検討中の親御様から本当によくいただく質問です。
自分の子供が言語の全く違うカナダの高校に留学するとなると、
英語の準備についても心配になるのは親心です。

ましてや、カナダの高校に留学できることに浮かれ、「行けばなんとかなる!」なんて言っている我が子を見た日には「ほんとうに大丈夫か」という気持ちになるのではないでしょうか。

ここでは高校留学前の英語レベルで最も多い英検準2級~2級レベルの方のための準備や考え方について紹介しています。高校留学に向けた英語の準備のおはなしで、誰にでもできる内容なので、留学を成功させるための参考にしてもらえると嬉しいです。

質と量

いきなりですが、これが英語を上達させるための本質であり全てです。でも、巷では「短期間で英語がぺらぺら」「3ヶ月でビジネス英語を習得」のようなキャッチーな広告が溢れています。なぜでしょう?理由はシンプルです。これは「英語には質と量が必要です」「3年かけて頑張っていきましょう」と言ってしまうと、潜在顧客の心に響かない→お客様が集まらない→ビジネスが成り立たないことを英会話ビジネスの経営者は知っているからです。

一方、英語の習得に留学がよしとされているのは、質と量を満たす環境を同時に手に入れることができるからです。ただ、それなりの費用もかかります。だからこそ、私はみんなに結果(=英語を身につける)を出してほしい、と心から思っています。なぜなら、カナダには自分の可能性を無限に広げてくれる環境が待っていて、そして高校留学で身に着いた英語力が人生の選択肢を増やしてくれることを知っているからです。

もう一回いいますね。

英語は質と量が全てです。

このことを前提に高校留学の英語の準備についてふれていきたいと思います。

量の簡単な増やし方

「質と量」と言いましたがいきなり質を上げることはできません。
質の高め方は量の練習を積み重ねてわかってくるコツのようなものなので、質については一旦忘れてください。

では量の増やし方とは何なのか?

早速、答えを明かしてしまうと「英語に触れている時間を増やし、継続できる状態を作る」です。では英語に触れている時間を増やし、継続できる状態を作るにはどうすればいいか?

それは、好きなことを通じて英語を学ぶことです。

TVやSNSを見ていると流暢に日本語を話す外国人がいます。そんな外国人に日本語をどうやって学んだか質問すると「アニメが好きで漫画を通して日本語を学んだ」とか「日本のドラマが好きでドラマのセリフで日本語を覚えた」なんて答えていますよね。これをそのままやればいいのです。そうすると、英語に触れている時間が自然に増え、無理なく継続できるようになります。

習慣がすべて

1日は24時間しかありません。でも24時間をすべて英語の準備に使える人はいません。学校の授業、宿題、クラブ活動、習い事、アルバイト、友達との時間、睡眠の時間など「英語に触れられない時間」が誰にでもあります。一方で何となく無駄に過ごしている時間もまた誰にでもあります。そこで試していただきたいのが、一度、自分の1日のスケジュールをゆっくり見直す、という作業。遊び感覚で大丈夫です。授業やクラブ、睡眠など絶対に英語に触れられない時間以外の時間を探してみてください。そうすると「あれ?この時間、英語時間に変えられるかも」というすきま時間が見つかるはずです。例えばこんな感じです。

:通学・習い事・アルバイトに行くまでのスマホ時間・音楽鑑賞の時間
→英語のリスニング時間
:バラエティーやTVドラマを何となく見て過ごす時間
→海外のアニメやドラマを見る時間
:寝る前のだらだら時間&スマホ時間
→日本の漫画の翻訳版を読む時間・簡単な日記(英語)をつける時間

こんな風にすきま時間を見つけて、好きなことに英語で取り組む時間に変換してみてください。そうすると無理なく英語に触れる時間が増えていきます。英語学習はいかに自分の生活の中で英語時間を増やしていくか(=習慣化)が成功の鍵なので、何をしなければならないかを考える前に時間の使い方について考えてみてください。

基礎力を挙げる

一方、英語の基礎力をあげておくことも高校留学の準備では大切です。例であげた「日本語が流暢な外国人」も、きっと裏では日本語の文法や単語、リスニングの練習もしています。最初はたどたどしい日本語で会話の練習もしているはずです。つまり考え方としては「好きなことを英語でやる」+「英語の基礎勉強はしっかりとやる」が正解です。

こんな風に書いてしまうと「なんかめちゃくちゃやることが多そう」と感じるかもしれませんが、英語の基礎勉強は主に以下の2つでOKです。

1:英語の授業にまじめに取り組みよい成績を取れるように頑張る
2:高校留学までに英検で〇級合格という目標を立てて取り組む

日々の学校やクラブ、習い事などで忙しい方もたくさんいると思います。
そんな時は自分が取り組みやすいほうを選んでください。

やらないことを決める

英語を習慣化するにあたってもう一つ意識してほしいことがあります。それは「やらないことを決める」という作業です。1日は24時間しかありませんが、高校留学のための英語の準備に取り組むということは、これまでの24時間の使い方の中で何かを変えなければいけない、ということです。

多くの人は目標をもったとき「やらなければならないこと」を考えますが、同時に「やらないこと」まで考えられる人は、目標達成にむけ上手に時間を使えるようになりやすいです。理由はやらないことを決めることで、自分のための時間を生み出せるからです。

例えばこんな感じです。

:英語の勉強に取り組んでいる時間だけはスマホを見ない。
:〇時以降はTVを見ない。
:SNSに費やしている時間を減らす。
:英語の授業で寝ない。

バランスを意識する

日本中で繰り返し言われていることですが、英語学習においてインプットとアウトプットのバランスを意識することは鉄則です。文法や単語の勉強だけで英会話は上達しませんし、英会話の勉強だけをしても文法力や語彙力がなければ綺麗な英語を話せるようにはなりません。

ただ、ここでも少し意識してほしいことがあります。
それは“インプットの勉強でもバランスを考える”こと。

英語の勉強は大きく分けて「文法」「単語」「読み書き」「リスニング」「スピーキング」に分けられますが、スピーキング以外はインプットの勉強ですね。ではインプットの勉強でバランスをとるために必要なことって何でしょうか?

それは「いま自分はなんの勉強をしているのか意識すること」です。

ここで思い出してほしいのが「最近、英語の勉強やってる」という言葉。自分で言ったことがある人もいれば、友達が口にしているのを聞いたことがある人もいるでしょう。

この言葉、一見すると「英語の勉強を頑張っているんだな」となりますが、よくよく考えると文法の勉強をしているのか、読み書きの勉強をしているのか、単語なのか、リスニングなのか英会話なのか全く分かりません。だってすべて英語の勉強なので。そして、実はこれがちょっとした落とし穴になります。

この落とし穴にはまらないためにも、英語の勉強に取り組むときは「自分はいま何の勉強をしているのか?」を意識してみてください。自分の中で「今は文法時間」「今はリスニング時間」「今はボキャブラリー時間」という風に分けて考えることが出来れば、何となく頭の中が整理され、バランスよくインプットの勉強に取り組むことが出来ます。イメージとしては文法・単語・読み書き・リスニング・スピーキングと書かれたコップに知識という水をバランスよく注いであげる感じです。

ではなぜこのバランスが大切なのかというと、カナダの高校に留学すると全て必要だからです。これ以上の理由はありません。カナダの高校に入学すると、カナダ人の生徒と一緒に授業を受け、宿題や課題をこなしていかなければなりません。教科書やテストの内容を理解し単位を取っていくためには手薄になりがちな読み書きの勉強も必要です。

だからこそ「自分はいま何の勉強をしているのか」を考え「バランスよく学ぶ」ことを少し意識してみてください。

集中力を高めるロックオン

前章でバランスよく学ぶことの大切さについて触れましたが、机に向かっても何となく集中できないことはよくあります。そんな時に使ってほしい魔法の言葉があります。ロックオンです。例えば単語の勉強に取り組む際に「今から15分間は単語にロックオン」と心の中で呟くだけでOKです。そして、その15分間だけは他に何もしないことを決めてください。SNSもLINEもこの15分だけはお休みです。これだけで意識が単語の勉強に向き、目の前のことだけに集中できるようになります。スマホを持つことが当たり前になり集中することが難しい時代だからこそ“ロックオン“を試してみてください。

「簡単をたくさん」ができる勉強法

*文法

中学校3年生レベルの文法はしっかり身に着けてください。カナダの高校に入学すると、これより高いレベルの文法も出てきますが、高校留学の準備としては中学3年生までの文法でOKです。

*単語

単語の勉強は動詞・形容詞・名詞に分けておはなしをさせていただきますが、大切なポイントは「簡単な単語をたくさん学ぶ」です。

実は、簡単なのに知らない単語、使えてない単語がたくさんあることに気付いていない人が案外多いです。にもかかわらず、普段あまり使わない難しい単語ばかり頭に詰め込んでいます。日本の学校教育では「難しい単語をたくさん知っている→テストでよい点数が取れる→受験に有利」という図式になっているので、この影響かもしれません。 普段使わない言葉を頭に詰め込むという学習は、極端にいうと、幼稚園児に政治用語を覚えさせているのと同じことです。幼稚園児に「解散総選挙」なんて言葉を教えても100%「?」となります。だって使うことがないから。そして、使わないのですぐに忘れます。

子育てをされてきた皆様なら覚えてらっしゃると思いますが、子供はみな半径3m以内にある言葉から吸収していきます。でもなぜか英語学習になると身の回りにある簡単な単語をすっ飛ばし、難しくて普段使わない単語ばかり吸収しようとします。

お子様が英検準2級~2級レベルの英語力をもっていたとしても、英語を母国語にするカナダ人の中に入れば子供みたいなものです。そのことを頭の片隅におきつつ、簡単な単語をいっぱい吸収してください。簡単な言葉をたくさん知っていると、(中3レベルの文法力があれば)基本的な会話は成立させることが出来ます。質問されたことに英語で答えられる機会も増えます。日々そんなことを繰り返していると英語が上達し、ちょっとずつ自信が付き、周りとの人間関係も育まれます。だからこそ、高校留学を見据えて単語の勉強をするときは、身近にある簡単な単語をたくさん吸収してみてください。

*動詞の学びかた

朝起きてから寝るまでの自分の行動・動作をすべて日本語で書きだしてみてください。 例えば

:目が覚める
:ベッドから起き上がる
:ストレッチする
:シャワーをあびる
:服を着替える
:朝食を食べる
:歯を磨く
:髪をセットする
:化粧する
:友達にLINEする/メッセージを送る
:電車/バスに乗る
:挨拶する

朝のワンシーンのだけでも簡単に10個以上出てきました。あなたは何個言えたでしょうか?1日分の行動や動作を細かく書き出していくと100個以上になります。そして書き出した行動・動作を英語にして学んでください。

なぜこの方法がおすすめかというと「自分の生活に身近な言葉」だからです。
自分の生活に身近な言葉ということは、つまり、会話の中で繰り返し使う機会があることを意味します。当たり前ですが、言葉は反復して使うほど脳に刻み込まれ自然に使えるようになります。そして、その言葉の使い方も分かってきます。

英語力がそれほど高くない子供が海外留学して他国からの留学生や現地のホストファミリー、先生と話すときに最初に必要になるのは「自分の生活に直結する身近な言葉」です。

「What are you going to do this weekend?」
「What do you like to do?」
「Did you see that movie?」
「What do you think about 〇〇?」

こんな質問に答えるのに難しい単語は必要ありません。簡単な単語と中学3年生まで文法で全てカバーできます。

身近な言葉をすっとばして難しい単語を学ぶのは基礎をやらずに応用をするようなものです。語彙力の基礎が身についてくれば、カナダでの高校留学中に目にする様々な単語も吸収しやすくなります。だからまずは焦らず簡単な単語をたくさん吸収してみてください。

*形容詞の学び方

形容詞の学び方も動詞の学び方と同じです。日常生活の中で自分が感じる感情や状態を中心に日本語で書きだして覚えるだけです。

:嬉しい
:楽しい
:悲しい
:寂しい
:ワクワクする
:落ち込む
:いらいらする
:素晴らしい :活発
:積極的
:消極的
:怖い
:自立心が強い
:落ち着いている

こんな感じでどんどん書き出してみてください。そして会話の中で使うことを意識してみてください。最初はうまく操れないかもしれませんが、何度も繰り返していくうちに使い方も分かってきます。

*名詞の学び方

あなたにとって一番身近な名刺の宝庫は家です。だからまずは家にある物をどれくらい英語で言えるかテストしてみてください。「こんなことも知らなかったんだ」「簡単なのにすぐに出てこない」、そんな発見がたくさんあるはずです。

*テスト

以下は家庭のキッチンにあるものです。あなたは辞書やスマホを使わずにいくつ言えるでしょうか?

:冷蔵庫
:電子レンジ
:炊飯器
:フライパン
:湯沸し器
:食器棚
:ゴミ箱
:換気扇
:調味料
:お箸

このテストが終わったら、自分の部屋、洗面所、リビングでも試してみてください。きっと分からない単語のほうが多いと思います。そしてこれが、あなたの現在地ということになりますが、落ち込まないで大丈夫。身近にある簡単な単語名なのにパッと出てこない言葉がいかに多いかに気付いてもらえたら、それだけでOKです。自分の英語レベルの現在地を知ることは成長の第一歩なので、分からないこと知ってをどんどん吸収してください。

リーディング

カナダでの高校留学の準備として英語時間を習慣的に伸ばすことがことを目的にした場合、無理なく続けられることが前提になります。そこでおすすめしたいのが日本の漫画の翻訳版を日常の生活に取り入れてみることです。日本の漫画は世界でも大人気で翻訳版もたくさん出版されているので、是非、検索してみてください。

僕が思う漫画の翻訳版の良いところは主に以下の2点です。

1:ストーリーが会話ベースで進むため日常生活で使える簡単な表現がたくさんある
2:(読んだことがある漫画の場合)ストーリーが頭に入っているので翻訳版でも話の流れがイメージしやすい

特に1はある程度、英語力が高い方でも普段とっさにでてこない表現がたくさんあるのでおすすめです(そういう表現を自然に会話で使えるとネイティブっぽく聞こえます)。

漫画を読む習慣がない人は海外の子供向けの小説や絵本もおすすめです。逆に新聞や大人向けの小説は出てくる単語のレベルが高く、日常生活の中で使う機会も少ないので無視して大丈夫です。留学前の英語力で一番多いのが英検準2級~2級レベルですが、このレベルの英語力はネイティブカナディアンでいうと幼稚園くらいです(学力ではありません、あくまで英語力のおはなしです)。つまり自分の英語力はまだまだカナダ人の子供レベルだと考えるほうが自分に合った勉強ができますし、頭にも入りやすいです。

思い出してほしいのですが、子供は半径3m以内の言葉から覚えていきます。また日常的に使える簡単な英語をたくさん知っているほうが留学してからも使う機会が多く、新しい言葉も覚えやすくなります。本格的な小説はカナダの高校の授業でも使用されますし、新聞はカナダに行けばいくらでも目にする機会がありますが、今は留学前の英語の準備のおはなしなので、ストレスなく継続できて習慣化することにフォーカスしてみてください。

※現在の英語力が英検準1級レベルで日常会話も問題なくこなせて、子供向けの小説ならすらすら読める方は大人向けの小説や新聞を教材にするのもOKです。

リスニング

リスニングは一日10分~15分でいいので日々の生活の中に取り入れていただきたいのですが、聞くものとしては何でもいいです。ただ一つだけ気を付けてほしいことがあります。それは「聞いていて少し難しい」と感じるレベルの素材を選ぶということです。そういう意味ではシチュエーション別に分けられたリスニング教材などはレベル分けされているものもあるので取り入れやすいです。

子供向けに作られた海外の映画やアニメも、使われている言葉が比較的やさしいのでおすすめです。逆に海外ドラマや映画、洋楽は専門用語やネイティブならではの言い回し、スラングなどがたくさん登場し、高校留学の準備レベルの生徒には難しいものも多いです。そのため「英語の勉強をやっている気になるけどあまり効果がない」という結果に陥る可能性もあるので注意しましょう。

「聞いていて少し難しい」と感じるレベルのものであれば、リスニングを繰り返しているうちに耳が慣れ丁度良いトレーニングになります。筋トレでもいきなり重いものは持ち上げられませんが、少し頑張ればできるくらいの重量で繰り返しトレーニングをすると、知らない間に筋肉がついていきますよね。そんなイメージで取り組んでみてください。

あと余裕のある方は「シャドーイング」をリスニン練習に取り入れるのもおすすめです。シャドーイングとは耳から入ってきた英語を口ずさむ練習ですが、英語のリズムをつかんだり顔の筋肉を鍛えるのに役立ちます。英語は日本語と違って使う顔の筋肉が若干異なりますが、シャドーイングを習慣にすると、英語を話すための筋肉を使う練習になり、英語のリズムも吸収できるので一石二鳥です。

ライティング

日々の出来事や感じたことを日記にする、これだけでOKです。ただ1つだけ守ってほしいことがあります。それは「自分が知っている一番簡単な言葉を使って書く」です。

これは僕自身が留学しているときにライティングの先生に教わった格言みたいなものですが、とても印象に残った言葉であり、今思い返しても実践向けのアドバイスでした。では高校生がライティングに取り組むときってどんな時でしょう?ほとんどはテストやエッセイの宿題の時です。では、テストやエッセイの宿題でいいスコアを取るにはどうすればいいでしょう。それは「正しく伝えること」です。そして正しく伝えるには簡単な言葉を使い、誤字を減らし、分かりやすい文章になっているほうが減点は少なくなります。

僕が出会ったこの先生は、過去に何千何万という留学生のライティングを見てきたはずなので、留学生が難しい単語を使いたがることや、その結果、使い方を間違い不自然な文章、意味の分かりにくい文章になりがちなことを知っていたのだと思います。